2017年秋の衆議院議員選挙を終えて思う事・・・
安倍首相が「国難を突破しよう。」との一言で、第三次安倍内閣が発足してから約一か月が過ぎて間もない形で衆議院議員が解散された。
自公与党や安倍支持層にとっては「北朝鮮対策に備えた危機管理強化のための解散」で、野党や反安倍支持層に取って見れば「森加計日報問題を隠して、北朝鮮対策軍備強化のために棚ぼたを得て調子に乗った解散」なのだ。
今回の解散で大きな話題だったのが、当時の自由党・民進党・社民党・共産党の四大反安倍野党が結束して「野党共闘」を本格的に熟成している最中に、民進党の党首選が行われ、反共派で保守改憲色が濃い前原誠司氏が勝利して、小沢一郎氏が小池百合子東京都知事の知名度と作戦力を使う形で新たな政党である「希望の党」の設立に至ったのである。いわゆる「小池劇場」の始まりである。
当初は、小沢の願望である「安倍政権そのものを、共産党の左翼勢力から小池百合子の右翼勢力を利用する形で挟み撃ちにして打倒して行こう。」との目的であった。
しかし、小沢の思いとは裏腹に、右翼志向が強い小池百合子が当時の民進党との状況とそっくりであった左右金石混合の状況であったた事に疑問を持つ様になって行く。
事もあろうか、リベラル左派議員の陶片追放を行い、改憲保守純化戦略を執行した。その結果、左右関係なく「都知事との二足の草鞋を履くな!。この無責任女!」や「左翼と右翼とをごっちゃにしてどうすんだい!。」や「緑のタヌキを装った、最悪の悪女。この詐欺師!。」、「安倍晋三以上の恐怖独裁政治屋!」、「安倍と同類の軍国主義者。」、「小池は売国奴!」、「衆議院議員選挙に立候補してもしなくても無責任!」等と言う形で、「政治家小池百合子」の評判は日に日に落ちて行く・・・。
それと並行して行くうちに、希望の党や地域政党である「都民ファースト」から離脱したり、小池百合子党首を強烈に批判する党員が相次ぎ、両党の支持率は評判は勿論、存続さえも危なくなってしまった。小沢一郎は希望の党との合流をも諦めてしまった程である。もちろん、民進党や前原誠司の評判も地に墜ちたのだ。
それに追い打ちを掛ける形で、安倍政権下で劣悪な政治スキャンダルが連発して評判を下げて行った自民党に対する信頼感の回帰現象が、小泉進次郎氏を媒体にした形で起こってしまった。
更に希望の党を追い出されたリベラル左派議員を中心に枝野幸男氏を党首として結成された「立憲民主党」の結成である。これにより、日本におけるリベラル支持層や議員達の受け皿が古くから続いている共産党や社民党では庇い切れなかった分を補完して行く形で誕生した。
政治や社会の右傾化が日に日に激しくなり、それが固定化してしまいつつあることに対して不安を持つ人達が集い、それに対する期待が大きくなりTwitterやFacebookを通した賛同の獲得数が日を追う毎に増え、今まで地味な存在であった枝野氏の評判も高くなり、支持率が上がって行く・・・。これにより、希望の党に変わって、立憲民主党が安倍自民党からの攻撃対象となってしまったのである。
以上の様な経過を経て、10月22日(日)に衆議院議員選挙が行われた。結果は、自民党が圧勝し、希望の党が大惨敗。そして、設立されてから間もない立憲民主党が大躍進。
これにより、自民党&公明党が衆議院の総議席数のうち、全体の3分の2を独占。そして、立憲民主党が野党第一党となり、反自民勢力の受け皿となった。
希望の党の惨敗の多くが、新人や旧民進党の党員ばかりである事から、小池百合子が大惨敗の責任を負う形で本来であれば党首を辞任するのだが、最終的には党首の継続を決めた。このままで行くと、党そのものの社会的評判は悪くなってしまうだけではなく、党全体が改憲保守を基盤とした「集団的自衛権」の肯定と推進に舵を切るため、同党の穏健派や護憲リベラル派にとっては面白くないし、居づらくなってしまう。だから、彼等が小池党首に反旗を翻す形で、同党の大量離党が起こってしまうのは必至。
一方の改憲保守派は、その多くが安倍晋三首相と殆ど似ている歴史認識を持つ、急進的なタカ派である。そのため、改憲や集団的自衛権や防衛強化に積極的な日本維新の会や自民党との本格的な連携し、与党入りする可能性も捨てきれない。行く行くは、改憲に消極的な公明党をすっ飛ばす勢いと流れで改憲論議が進んで行くと思われる。
居場所を失う彼等は、穏健保守派達は恐らく旧民進党の無所属議員と手を組んで中道新党の結成に動くでしょうし、護憲派ないしリベラル派は立憲民主党への合流と言う形で、新たな居場所を求めて行くのでしょう。
しかし、枝野はストイックな穏健リベラルである事や自分自身が設立した党の支持率が低下するのを恐れ、希望の党などと言った改憲保守派との合流や融合を嫌悪している。
以上の様相から、改憲論議が積極的に始まり、同盟国のアメリカからは歓迎される一方で、近隣諸国である中国や韓国、敵対する北朝鮮、北方領土問題を抱えかつ米国に不満を持つロシアからは警戒されている。
この様な事から、今まで培われてきた「平和国家ニッポン」の基盤が本格的に変質し始めたのだ・・・。
その一方で、日本の政治イデオロギー構図が明快な形で分化され、この様な流れで民進党が事実上解党し、自民党を中心とした伝統的改憲保守・維新及び希望を中心とした新興改憲保守・立憲民主党を中心とした新興リベラル・社民党と共産党を中心とした伝統的護憲リベラルと言う四つの政治勢力となり、国民や有権者にとっては明確で解りやすい形となったのだ。
最後に、私がこの解散と衆議院議員選挙の事について思うには、単に「改憲論議の本格的スタート」や「現行憲法の終焉の始まり」、「対北朝鮮と中国、そして対ロシア防衛強化」、「北朝鮮対策強化」、「森友&加計、日報スキャンダル問題の更なる追及の要望」だけではない。これとは同時に、「改憲派と護憲派とのつばぜり合い」と「政治勢力における、更なる左右両極分化の進行」が本格的に始まり、それが更に加速して行き、新たな時代が始まったと、そう感じているのだ・・・。
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平和国家ニッポンって…
そりゃトランプも呆れるだろうな…
日本人はすぐに「平和国家」を誇りたがるが、
それ、日本の手柄じゃない。
日米同盟と在日米軍がどのくらい国際社会で信頼があり
堅牢かってだけ。
日本には経済力がある!とかいうひともいるが、
今日の安定した日本市場に、日米の安全保障は寄与している。
もしかしたら物理的に何があるかもしれない国の
通貨を国債を株を、投資家は好き好んで買わない。
安全保障の弱い国はそれだけで投資家にとってリスクだ。
他人から借りた堅牢な安全保障あっての経済大国。
とまず気づくところからつぎにどうしていくべきなのか、
現状維持なのか変えるのかを議論をしなければ、
適切な答えもでてこない。
(おわり)
投稿: 平和ぼけ… | 2018年3月29日 (木) 03時38分
別に日米安全保障と在日米軍が良い悪いって話はしてないのであしからず。
ただ、これまでの日本の平和と繁栄は他人の褌よってこと。
投稿: あ | 2018年3月29日 (木) 03時45分