東京へ・・・(その3)
先程からの続きになります。
私の東京二日目のメインは、11月4日(金)のNPO法人ぱれっと関連の組織及び施設への見学及び説明でした。本来ならば組織全体や余暇活動の「たまり場ぱれっと」や作業所として登録されている「おかし屋ぱれっと」の説明や見学から参加しなければなりませんでした。私の場合、本当は最初から参加したかったのですが、母が前日から東京へ来ていて「浅草で天丼を食べて、渋谷の東急ハンズへ行き、銀座をぶらりと歩きたい。」と言っていたので、朝一番で母と渋谷の東急ハンズへ行くため、途中からの参加となってしまいました。後々、職員の方々には勿論、当日見学された他のメンバーの方々に対しても「迷惑を掛けてしまった・・・。」との気持ちに駆られてしまいました。
そのうち、私は「えびす・ぱれっとホーム」と「ぱれっとの家 いこっと」、「Restaurant&Bar Palette」への見学と説明でした。詳細については、説明と私の感想を交えた形になります。
1993年(平成5年)に開設された、知的障害者を対象としたケアホームと渋谷区在住者を対象としたショートステイの施設です。そこでは、知的障害者が地域社会の中に溶け込めて行くための共同生活を営んでおります。その多くが経済的には難しいが、アパート等での一人暮らしを希望しており、そちらでは金銭管理や健康管理、料理、対人関係等の生活関連分野への相互支援を行っています。その他、外部からのボランティア(料理関連等・・・)も受け付けており、地域社会との交流も積極的です。
②「ぱれっとの家 いこっと」
日本では非常に珍しい、障害者と健常者とが「一つ屋根の下」で暮らす共同生活の場所です。最大のコンセプトは「障害のある人もない人も安心して暮らせる家をつくる」です。そこは完全な自立支援が求められ、2階以上には一人一人の個室が、1階には共用のキッチンとリビング、洗濯場、浴場、洗面所があります。
生活構成は個人の個性を尊重して行く形で、緊密なコミュニケーションとチームワークで成り立っており、料理の共同制作や掃除当番制度が設けられており、ここ最近流行りのシェアハウスさながらです。また、キッチン内の戸棚は、入居者別に割り振りされていて、きめ細かな気配りがなされております。それによって、相互間によるホスピタリティーが行き届いている様にも感じとられました。恵比寿駅から徒歩8分で、しかも家賃が6.9万~7.3万円、敷金2ヶ月、礼金無しで、都心としては非常にお手頃な価格です。
それは、株式会社東京木工所とぱれっと、 組織である「いこっと運営委員会」等が主体となって、ボランティアや障害者本人、親御さん、入居者本人の意見や要望等が取り入れられた形で、完成されたのです。この建物をぱれっとが一括借り上げして(サブリース)、入居者と賃貸契約を結び家賃で返済していくという仕組みで運営です。
昔さながらの封建的ないし差別主義的な要素も混ざった「ムラ社会」が残っている地方にとってみれば、非常に画期的かつ新鮮で進歩的な福祉施設であると感じました。私たちが住んでいる石川県にもこのような生活居住空間が出来て欲しいと思っています。
③「Restaurant&Bar Palette」
1990年4月に、障害者・健常者・外国人が共に働き利益を追求する株式会社として設立された、㈱ぱれっとが運営し、翌1991年に「スリランカレストランぱれっと」の名称で開店。スリランカ料理とビールを主体としています。途中「香辛酒房ぱれっと」との名称変更や移転等を経て、2003年11月に現在の名称としてリニューアルオープンしました。
恵比寿駅東口周辺の居酒屋街の真ん中にあり、昼夜問わず賑わっています。
私も東京在住時代には、ぱれっと主催のバザーの打ち上げ等で金沢に帰った後での東京訪問の際にも何度も足を運んでいます。多くの人達は「インドやタイ、スリランカのカレーは辛い!。」と思っている人が多いのが現状ですが、実際に食べてみると、そんなに辛くなく、日本のカレーには無い香ばしさは勿論の事、さっぱり感さえもあります。
見学ツアーは前述の通り、途中からの参加となってしまいました。その時には「NPO設立したい」や「シェアハウスを建てたい」との希望等、様々な目的で見学に訪れた方も多数いました。私の場合は、10年間も続いている東京恵比寿のぱれっとや約20年間も続いている地元金沢近郊の津幡町の自閉症者施設はぎの郷等へのボランティア活動や様々な御世話を受ける等で関わっております。それにも拘らず、障害者福祉や医療についてまだまだ分からない事があるのです。その知識を生肌で感じながら深く学びたかったからです。
各施設への見学や昼食では、東京都内の福祉事情を中心に意見交換が行われ、同時に参加者同士の雑談を交える形での親睦も深め合う事が出来、癒しと学びが同時に出来た充実したひと時でもありました。
特に「ぱれっとの家 いこっと」は、単に「障害者と健常者とが共生できる社会」を作って行こうと言うレベルにと止まりません。「障害者と健常者が一つ屋根の下で地域社会で御互いにコミュニティーと取りながら共同生活で仲良く暮らす。」と言う姿は、正に「究極と至高、そして至福のバリアフリー」の姿であると感じています。それが「理想」から「現実」に変わり、その波が、日本全体に広がって欲しいと思います。
見学が終了し、私がツアー夜行バスで金沢に帰るまでの間は、昼間は母と三越銀座店でティータイムを取り、GAP銀座店で洋服を買い、有楽町の阪急メンズ東京店でウインドーショッピングをしました、母の若かりし頃の「銀ブラ」を思い出話に浸りながら貴重でかつ不器用な親孝行で過ごしました。母が年齢の事を考慮して飛行機で帰らなければならなくなったため、浜松町まで送りました。
さらその後は、ぱれっとの職員が住んでいるマンションへ行き、そこで食事会をしました。そこには職員の旦那さんの母親もいて、お酒を飲みながら非常に楽しく賑やかに過ごす事が出来ました。最後の方になって、旦那さんも来て賑やかさが一層盛り上がりました。私は、2名の女性職員からのマッサージ治療の依頼があったので、早速やる事にしました。東京での旅行先でやるのは初めてだった事、私が母のケアで鍼を持参したのでそれを勧めていたら早速OKとの了承が得られ、しかも鍼の未体験者であった事等、緊張と嬉しさが交錯しておりました。そのうちの一人がディスポ鍼による治療を後の一人にはマッサージとローラー鍼による治療を施しました。皆で買い物は出来ても、料理作りには参加出来なかった事が唯一の悔しみでした・・・。
夜10時には目黒駅までバスで行き、複雑な道に迷いながら新宿のバス乗り場まで辿り着き、そこからツアーバスに乗って、浅い眠りのままで金沢に帰りました。
今回の旅行はドタバタとして粗雑な親孝行と勉強が入り乱れたものでした。
(追伸)
NPO法人ぱれっとのURL http://www.npo-palette.or.jp/
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